はじめに
ネットをみていると、「給与は安いが楽な仕事をすることを前提に、セミリタイアしたい」と言っている人が結構います。そのような人たちは、「給与は安いが楽な仕事」をすることで「月10万円程度」稼ぐことで、ストレスフリーな生活が送れるとの前提に立っているように思います。
しかし私は、そのようなセミリタイアはお勧めしません。今回は、なぜ私がセミリタイアをお勧めしないかについて書いてみたいと思います。
なお、本記事で書いていることは一人の無職の戯言ですので、その点はご了承ください。
セミリタイアをお勧めしない理由
「給与は安いが楽な仕事」をしたいと言っている人の多くは、具体的にどのような「給与は安いが楽な仕事」を想定しているのかが明確でないことが多いように思います。漠然と「ネットでアルバイト情報を検索すれば、そのような仕事が簡単にみつかる」との前提で話をしているケースが少なくないのではないでしょうか?
しかし私は、そのような仕事が簡単にみつかるとは思えません。もし、「給与は安いが楽な仕事」をする前提で退職するのであれば、何の仕事に就くかを具体的に想定した上で退職すべきだと思います。
例えば、「近所の会社が○○の求人を出していて、その仕事は楽なのを知っている。採用条件も問題ないので、応募すれば採用されるはず」くらいの想定は最低限必要だと思います。できれば複数の仕事が想定できればよいと思います。
退職前から副業をやっていて、その副業で稼いでいる実績があるのであれば、その副業を行う前提で退職するのは問題ありません。
退職前に何の想定もせず、退職後に「給与は安いが楽な仕事」を探しても、ろくな仕事がみつからない可能性が高いです。給与が安い仕事はいくらでもありますが、そういった仕事は大抵きつい仕事です。
「バリスタFIRE」などという言葉も、誤解を助長しているように思います。「バリスタFIRE」という言葉を聞いて思い浮かべるイメージは、優雅なイメージです。退職後に近所の喫茶店でコーヒーを淹れたり、常連客と世間話をしていれば、月10万円くらいを楽しく稼げるというイメージがあります。
しかし、そのような仕事は幻想です。そもそも求人を出しているのは人手不足だからであり、つまりは忙しい職場だということです。忙しい飲食店には大抵、店長お気に入りのベテラン学生バイトやフリーターがいて、そのような若いベテランバイトに「使えねえおっさんだな」とか罵倒されながら働くことになるのがオチだと思います。
それでいて給与はよくても時給1,500円くらいで、会社員時代の残業代の3分の1以下なんてこともざらです。きついのに給与が3分の1以下だとすれば、「正社員の方がましだ」と思ってセミリタイア生活を挫折し、FIREを卒業してしまうことになりかねません。
おわりに
セミリタイアをしようとしている人は、資金計画については、やれ利回りがどうだとか、やれインフレ率がどうだとか、細かい試算をしているにもかかわらず、肝心の「給与は安いが楽な仕事」については、具体的に想定している人がほとんどいないように見受けられます。しかし、「フロムA(アルバイト雑誌)でもみれば、すぐにみつかるに違いない」というのは誤解です。
私としては、退職するのであれば、退職後に働くか否かは別として、働かなくてもやっていける程度の経済的基盤を築いてから退職すべきと考えています。
ストレスは、自分の意思ではどうにもならない状況になった時に感じるものなのではないでしょうか?セミリタイアは、少額といえども稼がないとFIRE生活が成り立たない前提です。きついバイトしかみつからなくても、バイトを辞めるという選択肢はないのです。これは地獄のような状況であり、まだ正社員で働く方がましなのではないでしょうか? 働かないですむ経済的基盤があれば、もしきついバイトに当たってしまったら、辞めればよいだけです。
セミリタイアをしたいと考えている人が多いのは、フルリタイアできるだけの経済的基盤を築くのには時間がかかるからです。準備に時間をかけずに、手っ取り早く退職したいという人がセミリタイアを目指しがちですが、手っ取り早いからこそリスクもあるということを認識した方がよいと思います。退職後に「しまった」と思っても、後戻りはできないのです。それでもあなたはセミリタイアしたいですか?