はじめに
先日の記事に書きました通り、私は新NISA口座を楽天証券で開設することを決めました。その記事をアップした翌日の「10月27日」に、楽天証券から「投信残高ポイント」(投信保有残高に応じたポイント付与)を復活させるとの発表がありました。
もともと楽天証券では、「投信残高ポイント」が付与されていましたが、2022年4月から実質的に廃止されていました。それを復活させるというものです。
新NISA口座の開設をどの証券会社で行うかについては、楽天証券ユーザーの中にも、SBI証券へ移管することを検討されている方がいると思いますが、今回の発表によって結論が変わってくる方もいると考えられます。今回の記事では、楽天証券の「投信残高ポイントプログラム」について、情報共有させていただきます。
楽天証券の「投信残高ポイントプログラム」とは?
楽天証券の「投信残高ポイントプログラム」の内容は、以下の通りです。
対象ファンド:
・楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンド(信託報酬率:0.05775%)
・楽天・S&P500インデックス・ファンド(信託報酬率:0.09372%)
ポイント還元率(年率):
・楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンド:0.0175%
・楽天・S&P500インデックス・ファンド:0.0341%
ポイント進呈時期:毎月の月間平均保有金額に対して翌々月末にポイントを進呈
注意事項:本プログラムの対象ファンドは、投資信託の残高達成ポイントの対象からは除外となる
今回復活する「投信残高ポイントプログラム」の対象ファンドは、上記の2本のみです。この2本のファンドは、楽天証券で今回新設された投資信託で、概要は以下の通りです。
楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンド
楽天・S&P500インデックス・ファンド
「楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンド」のベンチマークは、「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(円換算ベース)」であり、「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」と同じです。
「楽天・S&P500インデックス・ファンド」のベンチマークは、「S&P500指数(円換算ベース)」であり、「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」と同じです。
SBI証券とのポイント還元率の比較
SBI証券とのポイント還元率の比較は、以下の通りです。
楽天証券で「楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンド」、SBI証券で「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」を保有した場合のポイント還元率(年率)
楽天証券:0.0175%
SBI証券:0.0175%
楽天証券で「楽天・S&P500インデックス・ファンド」、SBI証券で「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」を保有した場合のポイント還元率(年率)
楽天証券:0.0341%
SBI証券:0.0326%
「オールカントリー」のポイント還元率は、楽天証券とSBI証券は同じです。一方で、「S&P500」については、誤差程度ではありますが、楽天証券の方が若干ポイント還元率が高いことになります。
ちなみに、「オールカントリー」「S&P500」ともに、各ファンドの管理費用は全く同じです(「楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンド」及び「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」が「0.05775%」、「楽天・S&P500インデックス・ファンド」及び「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」が「0.09372%」)。
なぜ楽天証券は「投信残高ポイントプログラム」を復活させたのか?
10月下旬のタイミングで、投信残高ポイントの復活が発表されたのは、10月以降に、楽天証券側の想定以上のペースで、顧客がSBI証券に流れているからだと思います。流出を止めるべく、慌てて対策してきた感じがあることは否めません。
もし当初から投信残高ポイントの復活が予定されていたのであれば、証券口座の切替が始まる前の9月までに発表していたはずです。
急遽このような発表をしてきたということで、楽天証券はそれだけ切羽詰まっているのかと、不安な気持ちを持ってしまいました。
個人的には、どうせ復活させるなら、「eMAXIS Slimシリーズ」での投信残高ポイントを復活させてほしかったです。楽天専売のファンドに顧客を集めることで、今後他の証券会社に逃げられないようにしたいとの思惑があるのではないかと、勘ぐってしまいます。
新NISA開始後に、新規開設されたファンドに全力投資するのには、抵抗感があります。純資産総額が小さいと、ベンチマークからの値動きのブレがあると思いますし、値動きのブレが大きい場合には、せっかく付与された投信残高ポイント分が帳消しになるどころか、マイナスになってしまうこともあり得ると思います。
なお、楽天証券は上記の2本のファンドについて、「業界最低水準の運用コストを目指す」としており、「信託報酬率につき他社類似ファンドが引き下げを行った場合、当ファンドの信託報酬率も見直しを行い、業界最低水準にすることを目指します」としています。
おわりに
「投信残高ポイントプログラム」の対象ファンドは、今後追加される可能性があるとのことです。
私自身はまだ、新NISAでどの投資信託に投資するかを決めたわけではありませんが、もしオールカントリーやS&P500に投資するのであれば、今回の楽天証券の2ファンドではなく、「eMAXIS Slimシリーズ」に投資する可能性の方が高いと思います。
とはいえ、新NISA口座をどの証券会社で開設するかを決めかねている楽天証券ユーザーの方は、今回の発表を受けて、SBI証券への乗り換えを止めるというのもアリだと思います。
今回の楽天証券からの発表を受けて、楽天証券に対してネガティブなことをいろいろ書きましたが、個人的には今回の発表があろうがなかろうが、楽天証券で新NISAをやるという結論に変わりはありません。
※2023年11月12日追記
楽天から上記の2ファンドについて、12月1日より信託報酬率を引き下げるとの発表がありました。あわせて、「投信残高ポイントプログラム」のポイント還元率も変更になります。
詳細はこちらの記事をご参照ください。