はじめに
先日ネットを徘徊していたところ、こちらの記事をみつけました。なんでも、FRBの調査によると、米国の一世帯当たりの平均純資産額は、2022年に初めて「100万ドル」(約1.5億円)を超えたんだそうです。
このFRBの調査は3年ごとに行われており、前回調査の2019年は「74.9万ドル」だったとのことですので、3年間で大幅に増加していることになります。2020年以降の、コロナショック後の金融緩和による株高が、純資産増加の背景にあると考えられます。
アメリカでは純資産1.5億円程度ではFIREできない
アメリカではインフレの影響で、個人の借金やクレジットカード債務が膨らんでいるイメージがありましたが、ここでいう「1.5億円」はあくまでも「純資産」(総資産マイナス負債)の話であり、負債額の大きさは関係ありません。
アメリカではミドルクラスの世帯が1.5億円以上の純資産を持っているわけですが、もちろんそれらの人たちはFIREなどしていないわけです。「1.5億円」程度では、とてもFIREするための資産としては足りないということだと思います。
その要因はいうまでもなく、インフレによる物価上昇です。こちらの記事によれば、アメリカ・コネチカット州のマクドナルドでは、ビッグマックセットが「18ドル」(2,700円)とのことです。日本のビッグマックセットは「800円程度」(都内)ですので、アメリカは「約3.4倍」の物価ということになります。
つまり、アメリカで「1.5億円」持っていることは、日本で「4,400万円くらい」(1.5億円÷3.4)持っているのと同じ感覚ということです。「4,400万円」では、FIREするには足りないということなのだと思います。
日本でも同じ状況になり得る
私は現在51歳です。20歳になった頃には既にバブルは崩壊しており、人生の大半は「デフレ」の時代に生きてきたとの感覚が強いです。最近でこそ、いろいろな物価が上昇していますが、「お金は銀行に預けておけば、価値は減らない」との感覚を根強く持っています。
デフレの経験しかなく、本格的なインフレを経験したことがないため、インフレの怖さが理解できていないのだと思います。
私はなんとなく、「FIRE後は、毎年の保有資産額が減らなければOK」という認識を持っていたのですが、保有資産額が1年前と同じということは、厳密にはインフレ率分、資産が減っていることになります。最低でもインフレ率分以上は資産を増やさないと、インフレ率によっては、加速度的に資産が減っていくことになります。
そのような状況になっているのが今のアメリカであり、日本も将来同じ状況に陥る可能性があることは否定できません。
私の保有純資産額は「約1.8億円」ですが、数十年スパンでみれば、その価値が「半分」や「3分の1以下」になってしまうことは十分あり得ます。
おわりに
アメリカは日本とは比較にならない格差社会ですので、「平均値」と「中央値」には大きな差があります。FRBの調査によれば、米国の一世帯当たりの「平均純資産額」は「100万ドル」(1.5億円)とのことですが、「中央値」は以下の通りとなっています。
白人世帯:28.5万ドル(4,275万円)
黒人世帯:4.5万ドル(675万円)
ヒスパニック系世帯:6.2万ドル(930万円)
アジア系世帯:53.6万ドル(8,040万円)
※詳細は、こちらの記事をご参照ください。
生命保険文化センターによれば、日本の2人以上世帯の平均保有額は「1,291万円」で、中央値は「400万円」となっています。
FIREするために、いくらの資産が必要なのかについては、それぞれの人の生活スタイルによって異なりますが、インフレによるマイナス影響は、想像以上に大きいということを改めて認識すべきだと思いました。