はじめに
先日ネットを徘徊していた際、衝撃的なニュースを目にしました。そのニュースとは、㈱フェルナンデスが破産を申請したとの報道です。
フェルナンデスは、ご存知の方もいらっしゃると思いますが、エレキギターやエレキベースのメーカーです(製品開発や販売を行い、製造は外注)。「FERNANDES」は国産ブランドとして、かなり知名度があり、国内では相応のシェアを持っているのではないでしょうか?
有名ミュージシャンとのコラボモデルも発売されていましたし、一時期「ZO-3」(ゾウさんギター)が流行しました(画像はフェルナンデス公式より)。
私は高校時代、部活動として「軽音楽愛好会」に所属し、バンドをやっていました。今回のフェルナンデスの破産のニュースを見て、当時のことをいろいろ思い出しました。
私の高校時代
私は中高一貫の男子校に通っていました。高校1年の頃(1988年頃)だったと思うのですが、中学時代から仲の良かったK君から、「バンドをやらないか?」と誘われたのです。既にボーカルやギター、ドラムは決まっているので、ベースをやってくれないかとのことでした。
私は当時、ハードロックが大好きで、K君も同様でした。具体的には、KISSやBON JOVI、モトリークルー、ヨーロッパといったバンドのコピーをやるとのこと。私が最も好きだったバンドは、アイアンメイデンやメガデス、アンスラックスといった、もう少しヘヴィなバンドだったのですが、面白そうだったのでやってみることにしました。
時代背景として、テレビで「イカ天」(三宅裕司のいかすバンド天国)が放送され、バンドブームだったこともあります。私も同番組は毎週VHSで録画していました。
「FERNANDES」のギターやベースは、バンドを始めたばかりの中高生でも手が届く価格帯(4~5万円くらい)で、とても人気でした。GIBSONやFENDERといった一流メーカーは価格的に手が出ませんが、FERNANDESであれば買えますし、当時人気だったミュージシャンもFERNANDESを使っていました。
一番覚えているのは、BOØWYの「布袋寅泰モデル」です(下の写真は高山質店ホームページより)。当時はBOØWYが解散するかしないかの頃で、カリスマ的な人気がありました。軽音楽愛好会の他のバンドでも、いくつかBOØWYのコピーバンドがあり、ギター担当は例外なく「布袋寅泰モデル」を使っていました。
私自身は、FERNANDESのベースを使っていたわけではありません。FERNANDESが欲しかったのですが、もっと安い無名ブランドのベースを、お茶の水の下倉楽器で買いました(アンプとセットで2万円台くらい?)。
結局バンドは、高校卒業前くらいまでやっていました。高校の文化祭でも演奏しました。当時は、土曜日の授業が終了すると、そのままバンド仲間(私を含めて4人。K君ギター・A君ボーカル及びキーボード・T君ドラム・私ベース)の自宅に入り浸って、徹夜で練習したり、麻雀をやったりしていました。傍から見れば、不良になってしまったように見えたと思いますので、両親からかなり心配されたのを覚えています。
おわりに
フェルナンデスの破産のニュースをきっかけに、いろいろと昔のことを思い出してしまいました。あれから「約35年」が経過しましたが、時代は変わったものです。変化によって、青春時代のいろいろなものがなくなっていってしまうようで、ちょっと寂しい感じもします。フェルナンデスにはなんとか復活してほしいと思っています。
そういえば、コピーしていたKISSも、昨年12月に「Madison Square Garden」でのファイナル公演を行い、50年に及ぶツアー活動を終えたことが話題になりました。モトリークルーについては、現在もバンド活動は行っているようですが、元ギタリストとその他のメンバーの間で訴訟になっているようです。
バンドの他のメンバーとは、高校卒業以来会っていません。メンバーの名前でグーグル検索してみたところ、ボーカルのA君だけ現在の状況が分かりました。なんと、内科医になっており、某医大の準教授として顔写真が出てきました。A君は確か親も医者で、当時はボンボンのような感じで、正直なところあまり良い印象がありません。「いい加減な奴」というイメージが強く、患者として診察を受けたいとは全く思いませんが、学会でいくつも賞を受賞したりしているようで、ご活躍のようです。
バンドに誘ってくれたK君(ギター担当)は、とてもいい奴だったので、機会があればまた会いたいです。よくある名前で、かつ同姓同名の有名人がいるため、名前をネットで検索しても同有名人のことばかり出てきてしまい、K君の情報にたどり着けませんでした。元気でいることを願っています。
35年という時間は、短いようで長いです。あのフェルナンデスが倒産し(そういえばGIBSONも現在は再建していますが、2018年に経営破綻しています)、KISSが活動を終え、いい加減だったA君が医者として活躍する程度には、十分な時間だということです。今から35年後に私は一体どうなっているでしょうか?私は86歳になっていますので、この世からいなくなっている可能性が高いですが、生きている可能性もゼロではありません。
高校時代から現在に至るまでの時間と同じくらいの時間が、まだ人生に残っているということも言えます。そう考えると、「人生の残り時間は少ない」とばかり思って、焦っていた気持ちがちょっと楽になったような気がしました。