はじめに
退職後に必要となる公的手続には以下の3つがあります。
【退職後に必要となる公的手続】
・健康保険の切替手続
・国民年金の加入手続
・失業保険の申請手続
今回は「健康保険編」と題しまして、退職後の「健康保険」に関する手続きにつきまして、書きたいと思います。
なお、本ブログ記事におきましては、「協会けんぽ」(東京都)を前提としておりますことをご留意ください。
退職後の健康保険 ~3つの選択肢~
退職後の健康保険は、以下の3つの選択肢があります。
①任意継続する
②国民健康保険に加入する
③家族の被扶養者となる
このうち、最もコストが安いものを選ぶことになります。誰にとっても、最もコストが安いのは、保険料が無料となる③ですが、私は扶養に入れる家族がいないため、選べません。
配偶者が会社員の方は、退職後は配偶者の扶養に入ることを検討されるとよいと思います。
私は①と②のうちで、コストの安い方を選ぶことになりました。各々の毎月の健康保険料を調べる必要があります。
退職後の保険料を確認する方法
任意継続の保険料
①(任意継続)については、大雑把にいうと、これまで毎月支払ってきた健康保険料の「2倍」の金額になります。会社員の場合は、保険料の半額を会社が負担していますが、退職後は負担してもらえなくなるためです。
ただし、保険料を算定するに際して基準となる、任意継続被保険者の標準報酬月額は現在、「30万円」が上限となっています。標準報酬月額30万円の場合の保険料は「月35,460円」ですので、この金額が任意継続の場合の保険料の上限になります。
国民健康保険の保険料
②(国民健康保険への加入)については、役所(区役所の保険年金係等)に電話して確認するのが最も手っ取り早いです。5分ほどの電話で、具体的な保険料を教えてもらうことができます。
私の場合、確認手順は以下の通りでした。保険料の計算に際して必要な情報は、源泉徴収票記載の「給与所得控除後の金額(調整控除後)」、「年齢」の2つのみです。名前や住所等の個人情報を伝える必要はありませんでした。
なお、扶養家族がいる場合には、扶養家族の情報も伝える必要があります。
【役所に保険料を確認する手順】
Ⅰ、役所の代表番号宛てに電話する。
Ⅱ、退職後の国民健康保険の金額を確認したい旨伝える。
Ⅲ、保険年金係に電話が転送される。
Ⅳ、先方から、源泉徴収票記載の「給与所得控除後の金額(調整控除後)」、「年齢」、扶養家族の有無を聞かれるので、回答する。
Ⅴ、先方が保険料を計算(1分ほど電話が保留される)。
Ⅵ、保険料が伝えられる。
私の保険料確認結果
私の場合、保険料は以下の通りでした。
【私の保険料確認結果】
①任意継続の場合:月額35,460円
②国民健康保険の場合:月額86,666円
なんと月額で5万円以上、①任意継続の方が安いことが分かりました。
この結果を受け、私の場合は任意継続とすることにしました。
なお、私は独身ですが、扶養家族がいる場合にも、任意継続の場合は扶養家族分の保険料がかからないため有利になることが多いと思います(国民健康保険の場合は、家族一人一人が保険料を支払う必要あり)。
国民健康保険の場合には、前納等で割引になる制度はありませんが、任意継続の場合には、前納することができ、私の場合は以下の通りの割引となります。
【保険料前納による割引】
※「12か月前納」を選んだ場合の保険料
6月:35,460円(割引適用無し)
7月~来年3月(9か月間):313,978円
以上6月~来年3月(10か月間)の合計納付額:349,438円
※6月1日に任意継続手続を行った場合、6月分の保険料には割引は適用できないとのことでした。
※前納しない場合の10か月間の保険料は「354,600円」になりますので、▲5,162円(349,438円-354,600円)の割引ということになります。
割引額については、「意外と大した割引にならないな」と思いました。
なお、私の場合は、6月末までに、「349,438円」を一括で払い込む必要があります。コンビニでは30万円超の払込ができないため、郵便局か銀行で払い込むことになりますが、郵便局は手数料が高いため、銀行になると思います。
任意継続のための具体的手続
任意継続のための必要書類
任意継続に際して必要となる書類は以下の通りです。
A.健康保険 任意継続被保険者 資格取得 申出書(1ページ目)
B.同上(2ページ目「被扶養者届」)
※Bは扶養家族がいる場合のみ必要となる。
扶養家族がいない場合には、Aのみで大丈夫です。
なお、Aの中に「健康保険・資格喪失証明欄」があるのですが、ここは退職する会社に記入してもらった方がよいです。記入があることで、健康保険証の交付が早まります(記入がない場合2~3週間かかるところ、1週間から10日で交付される)。
任意継続のための必要手続
協会けんぽの場合、任意継続するための手続きとしては、「A及びB」を「全国健康保険協会」(東京都在住者であれば東京支部)に提出するだけです。
提出する方法は、①窓口に持参する方法、②郵送する方法、の2つがあります。
今回私は、①(窓口に持参)を選びました。理由は以下の通りです。
Ⅰ、自分の性格的に、郵送よりも窓口に持参した方が安心感があるため。
Ⅱ、窓口担当者に確認したい事項があったため。
Ⅲ、実際の健康保険協会の様子をブログ記事にするため。
Ⅰについては、郵送の場合、何らかの事情で先方に届かないこともあり得ます。任意継続手続には期限(退職後20日以内)があることから、安全のためにも持参することにしました。
全国健康保険協会 東京支部への訪問
私は東京に住んでいるため、全国健康保険協会の東京支部に行きました。東京支部はJR中野駅北口から徒歩5分ほどのところにあります。
↓JR中野駅北口正面にある「中野サンプラザ」
↓中野サンプラザに向かって左側の景色
↓写真中央のビルの7階に全国健康保険協会 東京支部があります。
手続きは全体で20分程度かかりました。私は担当者にいろいろ質問したので長くなりましたが、書類を提出するだけであれば、すぐ終わります。
本日「6月1日(木)」の午後1時30分頃に行ったのですが、待合室には誰もおらず(銀行のような整理券発券機があるのですが、「0人待ち」でした)、すぐに担当者と面談できました。
ちなみに、31日付の退職者が多いことから、毎月1日は比較的混んでいるとのこと。私はたまたま空いているタイミングだっただけのようです。4月1日が最も混んでおり(1日300人来所)、6月頃の来所者数は1日150人くらいとのことでした。
事務所内は10ほどのブースに分かれていました。
上述した、前納した場合の割引額等を口頭で確認することができ、無事に「申出書」も提出できました。
健康保険証及び納付書の郵送
東京支部の担当者の方の話によると、私の健康保険証は1週間~10日後くらいまでに自宅に郵送されるとのことでした。
併せて上記「349,438円」の納付書(1枚。納付期限6月末)が同封されているとのこと。
おわりに
前納すると保険料は安くなるのですが、以下のようなデメリットがありますので、ご注意ください。
【保険料前納のデメリット】
A.銀行引き落としができず、納付書で自ら払い込む必要があるため、納付忘れの可能性があること。
B.退職後に再就職した場合、前納分の一部払戻が発生する可能性があるが、自ら手続を行わないと、払い戻しし忘れる可能性があること。
来年4月以降分の保険料の納付については、来年3月上旬頃(来年度の保険料率決定後)に納付書が郵送されてくるようです。
なお、以前は任意継続は2年継続が前提でしたが、現在は2年未満でも、任意継続の資格喪失を申し出ることができるようになりました。
FIREして収入が減る方については、退職後1年目は任意継続とし、2年目は国民健康保険に切り替えることで、2年目の保険料を大幅に安くできる可能性があります。
その場合、任意継続の資格喪失の申出手続を忘れないよう、注意が必要です。
「【完全版】退職手続マニュアル③(国民年金編)」につづきます。