ビッグモーターの件で商工ファンドを思い出した

日常生活

はじめに

最近、ビッグモーターの不祥事が世間を騒がせています。同社のニュースを見ていて、なぜか商工ファンドのことを思い出しました。

商工ファンドは、中小企業向けに貸し付けを行う商工ローン業者として、一時は飛ぶ鳥を落とす勢いでしたが、強引な取り立てや過剰な融資が社会問題となり、2009年に経営破綻しています。

私は1997年に就職活動をしましたが、まさにその頃に全盛期だったのが商工ファンドです。同社は当時、大量の新卒を採用しており、積極的な採用活動を行っていました。金融業界を志望していた私もつい、商工ファンドの会社説明会に行ってしまったのを覚えています。

会社説明会で感じた違和感

商工ファンドの会社説明会は、都心の一流ホテルで開催されていました。会場にいる社員は全員が20代と思われる若手社員で、人事担当者は美男美女でした。

創業者である大島健伸社長の話も聞いたはずですが、ほとんど覚えていません。ただ覚えているのは、登壇する社員の方々が口々に、「若手でも結果を出せば支店長になれます!」とか、「20代で年収1,000万円を超えている人がたくさんいます!」とか、そんな話ばかりしていたことです。

1997年当時は、いわゆる「年功序列」が当たり前の時代でした。そんな中で、一部の企業が「実力主義」を謳って、若手でもスピード出世したり、高収入が得られたりすることをアピールしていました。

今思えば、「年功序列は悪で、実力主義は正義」との考えが、世の中に出始めた頃だったのではないでしょうか。

1997年当時は「就職氷河期」でした。なかなか内定が出ない人も少なくなく、そういった人をターゲットに、商工ファンド等が「使い捨て社員」として採用していたのかもしれません。

私は当時、仕事に対するやる気はありましたが、「若くして出世してやろう」とか、「若くして高収入を得よう」と考えるほどには、野心をもっていなかったので、商工ファンドの会社説明会には違和感を感じ、選考の次のステップは辞退しました。

もし私が、変に意識高い系だったとしたら、商工ファンドのような会社に入社し、その後逮捕されてしまったかもしれません。

ビッグモーターと商工ファンドの共通点

両社の共通点は、社員に過剰なノルマを課し、「結果が全て」の人事評価を行っていることではないでしょうか。両社ともに、ノルマを達成できれば、実際に高額の報酬が得られ、達成できなければ降格されるということで、「結果を出すことが正義」になっていたのだと思います。

そのような環境で仕事をしていれば、誰もが、「結果を出すためには手段を選ばない」といった思考になってしまうのではないでしょうか。

両社とも、上司の部下に対するパワハラが横行し、大金持ちの創業社長が、部下に対して、「バカバカバカ」と連呼するのも共通しています。

おわりに

今思うと、私は、商工ファンドを含め、現在は存在していない3社に、就職活動で訪問しました。商工ファンド以外の2社は、山一證券と日本長期信用銀行です。

私がお会いしていた山一證券の人事の方は、確か新日鐵から転職してきたばかりの方で、しきりに、「山一證券は新日鐵に比べて、若手が活躍できる」といった話をしていたのを覚えています。

今の私は、「実力主義」ほど不公平な人事制度はないと思っています。一見、年功序列の方が不公平な感じがしますが、年功序列はとても理にかなったすばらしい制度だと思います。

「実力主義」では、結果が全てですが、そもそも仕事の結果なんて、その人の能力よりも、運や偶然によるところが大きいというのが、25年間会社員生活を送った私の結論です。

単に運がよくて結果が出ただけの同僚が出世しているのを見ても、不公平感が募るだけだと思います。ただ、会社で働いた経験のない学生は、騙されてしまうと思います。

今後、ビッグモーターの件がどのような形で決着するのかは分かりませんが、商工ファンドの例のように、長い裁判を経た後、結局は大金持ちの創業者がうまく資産を隠したまま、逃げおおせてしまうといった結論だけは避けてほしいです。

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