父親の終活を手伝いました ~母親へのマンション贈与~

日常生活

はじめに

私の父親は「88歳」です。とても元気なのですが、最近はブログ記事にもしているように、何度か入院したりもしています。

父親は、もしものことがあった場合に、家族(特に母親)に迷惑をかけたくないとの思いがとても強いようで、自身が入るお墓も購入済みです。遺書等も既に作成しているようです。その他、各種パスワードを他人が分かるように記録したり等、いわゆる「終活」を進めています

最近、父親の終活を手伝う機会がありましたので、今回はそのことについて書いてみたいと思います。

なお私は税務の専門家ではありませんので、以下に記載する内容に間違っている点があるかもしれませんが、ご了承ください。税務に関しましては、税理士等の専門家にご確認ください。

父親からの話

先日、父親から私に以下のような内容の話がありました。

【父親からの話】

自分にもしものことがあった場合に、手間がかからないよう、所有しているマンションの名義を「父親」→「母親」に変更することを検討している。

名義を母親に変更する場合の贈与税負担等がどうなるかを調べてみたいと考えている。

今年(2024年)から、マンションの相続税評価に関する税制が改正されているようだが、この改正によって、贈与税負担が増えるのかや、大よその贈与税額を把握しておきたい。

私は当初父親に、「税務に関しては専門家(税理士等)に相談した方がよいのではないか」と伝えたのですが、「自分で調べたい」として譲りませんでした

父親(金融機関を定年退職)はなんでも自分でやらないと気が済まない性格で、毎年の確定申告はもちろんのこと、過去に土地の売買等を行った際にも、専門家に一切頼まず、税務署等に相談しながら、全て自分でやったようです。

今回も、登記等も含めて全て自分でやりたいとのことでしたので、私も手伝うことにしました

マンションの相続税評価額を算定する方法

私自身、マンションを相続したり、贈与したりする場合の評価額算定方法について、全く知りませんでした。ネットで調べてみたところ、かなり大雑把ですが、以下の通りとなるようです

【マンションを相続・贈与する場合の評価額算定方法】

○マンションの評価額

マンションの評価額=「土地の評価額」+「建物の評価額」

○土地の評価額

ステップ1:マンション全体の敷地面積に対する自身の「持分割合」(敷地権割合)を確認する。
「持分割合」はマンションの「売買契約書」や「土地の登記簿謄本」で確認できる。

ステップ2:マンション全体の敷地面積を「路線価」で評価する(路線価×敷地面積)。
敷地面積はマンションの「売買契約書」や「土地の登記簿謄本」で確認できる。
「路線価」(毎年7月1日に公表)はこちらから確認できる。

ステップ3:「マンション全体の路線価」(ステップ2)×「持分割合」(ステップ1)を計算する。

○建物の評価額

毎年5月頃に区役所から届く「固定資産税通知書」に記載されている金額が、建物の評価額となる。

マンションの売買契約書や「固定資産税通知書」は父親が持っていましたので、マンションの相続税評価の概算はすぐに計算することができました

マンションの相続税評価に関する税制改正

昨年10月に国税庁から、マンションの相続税評価に関する改正通達が公表されました。この改正は、いわゆる「タワーマンション節税」に対応したものですが、タワーマンションに限らず、「8割程度」のマンションの評価額アップにつながると言われています。

2024年1月1日以降の相続、贈与から、新しい評価方法が適用されます。

一般的に、「戸建て住宅」は「市場価格の6割程度」が相続税評価額(相続税評価額の1.666倍が市場価格)となっているのに対し、「マンション」は「4割程度」となっていました。特に、築浅のタワーマンションの高層階は、市場価格と相続税評価額の乖離が大きくなっており、不合理が指摘されていました。

このマンションにおける、市場価格と相続税評価額の乖離を是正するのが、税制改正の主旨であり、マンションの市場価格に対する相続税評価額の乖離を、戸建て住宅と同水準(6割)にすることが目的です。

具体的に、自身のマンションが、税制改正によって評価額アップになるのか否かについては、こちらのシートで確認することができます。同シートにはエクセル様式がこちらのページにありますので、入力するだけで自動判定されます。入力する数字は、マンションの売買契約書等に全て記載されています

私がこのシートで判定したところ、結論的には「補正なし」とのことでした。従来からの相続税評価額算定方法で評価すればよいことになります。

おわりに

今回の試算により、税制改正による評価額への影響はないことが分かりました。これは、父親が所有しているマンションが、「築古」かつ「低層階」だったことによるものだと考えられます。一般的には、「築浅」で「高層階」であればあるほど、税制改正による補正で、評価額が上昇するようです。

ただし、仮に父親が母親にマンションを贈与(名義書き換え)すると、贈与税の配偶者控除枠(2,110万円)を超えてしまうことになりますので、贈与税が発生してしまいます。名義書き換えせずに相続(配偶者控除枠1億6千万円)した方が税金は安くなると考えられます(不動産取得税や登録免許税についても、相続の方が贈与よりも有利だと考えられます)。

いずれにせよ、今回計算したのはあくまでも「概算」にすぎません。詳細なマンション評価額は、土地の利便性等(「土地の形」や「面している道路の数」等)によって補正が入るようですので、専門家の算定がどうしても必要になってくる面はあります。

母親へのマンションの贈与を行うのか否かを決めるのは父親です。父親に対しては、贈与を行う場合には、税務署ともよく相談すべきと伝えました。

父親が所有している資産を誰に贈与したり相続するのかについては、本来は税負担等も踏まえて判断すべきだと思いますが、一方で、父親には父親の考え(例えば、もしものときに母親が生活に困らないことを最優先したい等)がありますので、税金面の有利不利だけで判断せずに、父親に全て任せ、父親の希望通りになるように支援していきたいと考えています。

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