突然姿を消してそのまま退職した同僚の話（S君のケース）

はじめに

退職にはいろいろな形があります。私は昨年5月末に、25年間勤務した金融機関を退職しましたが、25年間勤務している間で、突然姿を見なくなり、そのまま退職した同僚が2人います。

今回は、その2人の同僚のうち、「S君」について書いてみたいと思います。

S君（東京理科大卒）のケース

S君は私の2年下の男性社員でした。

私は入社してすぐに総務部に配属されたのですが、3年目の4月に、新入社員として総務部に配属されたのがS君でした。

私はS君の教育係になり、私が担当していた業務をS君に引き継ぐことになりました。S君はとても要領の良い奴で、仕事も卒なくこなしていました。人当たりも良く、特段問題は感じられなかったですし、むしろ優秀な社員とのイメージでした。

私は3年目の7月に現場に異動になりましたので、S君の教育係は3か月（4月～6月）で終了しました。S君はその後、私と同様、3年目に現場に異動になりました。

S君は現場で営業の仕事を担当していたのですが、営業成績は良く、社内でもトップクラスであったと記憶しています。フットワークが軽く、新規顧客の開拓で実績を上げていました。

S君は結婚し、私も結婚式に出席しています。結婚してますます、仕事に精を出すのだろうと思っていたある日、奇妙な出来事がありました。

ある朝、S君がいつものように出社してきたのですが、すぐに人事部長がS君を呼び出し、かなり長い時間、人事部長とS君が応接室で面談していました。ブラインドが下りていたため、中の様子は分からなかったのですが、2～3時間くらいたってS君が出てきました。

そのまま仕事に戻るのだろうと思っていたら、S君は荷物をまとめて帰宅してしまいました。その後数日間、S君は出社することなく、姿を見せなかったので、「Sはどこに行ったんだ？」と噂になっている最中、イントラネットの会社掲示板にS君の退職が掲載されました。

S君の身にいったい何が起こったのでしょうか？

S君の身に何が起こったのか？

S君の退職理由については、かん口令が敷かれているようで、上司に聞いてみても教えてもらえませんでした。

ここからは私の想像なのですが、恐らくS君は解雇されたのだと思います。解雇された理由ですが、私の推測では「お金に関すること」が原因なのではないかと思っています。

S君はいつも「お金への執着」を感じさせるような言動をしていました。例えばS君は、「出張の際にはいつも漫画喫茶やカプセルホテルに泊まっている」と言っていました。

当時、私の勤務先では、出張の際の宿泊費は実費ではなく、定額（当時一泊11,000円）が支給されていました。宿泊費を安くすれば、それだけ差額分得をするというわけです。私は漫画喫茶に宿泊するなど考えられませんでしたので、「すげえ奴だなあ」と思っていました。

S君はそんな感じなので、恐らく新規顧客を開拓する際等に、「キックバック」のようなものを受け取っていたのではないかと疑っています（あくまでも私の想像であり、根拠はありません）。

おわりに　～S君のその後が判明～

S君がその後何をしているのか分からなかったのですが、今回この記事を書くに際して、S君の名前をグーグル検索してみました。

ありがちな苗字なので、まさかS君の情報にたどり着けることはないだろうと思っていたのですが、なんと顔写真付きで情報が出てきました。

私の見た情報では、某役所の職員として、地域振興関係の仕事をしているようでした。顔写真が出ていたので、S君で間違いありません。

役所に勤務するに際して、前職で解雇されたことは問題にならないのでしょうか？それともS君は解雇されたわけではないのでしょうか？なんだか分からなくなってしまいました。

S君がどんな理由で退職したのかは分かりませんが、元気で頑張っているようでしたので、ちょっと安心しました。

あまりにもお金に執着しすぎるのも、考えものかもしれません。