はじめに ~苦節2年で住民税非課税世帯に~
私は「2023年5月末付」で約25年間勤務した会社を退職し、FIRE生活に入りました。2025年5月末でFIRE後丸2年が経過しており、現在はFIRE3年目に入ったところです。
FIRE後はアルバイトを含めて全く働いておらず、完全に無職の状態です(私は世帯主で扶養親族無し)。退職前後の私の収入状況は以下の通りです。
【退職前後の私の収入状況】
2022年:1年を通して勤務先からの給与収入あり。
2023年:1月~5月は勤務先からの給与収入あり。6月~12月は収入ゼロ。確定申告済み。
2024年:1年を通して収入ゼロ。住民税申告済み。
健康保険については、退職後の2023年6月~2025年3月は「任意継続」とし、2025年4月からは「国民健康保険」に切り替えています。詳細は「【健康保険】任意継続→国保に切り替えました【FIRE2年目】」(過去記事)をご参照ください。
私は「FIRE後にやりたいこと」の一つとして、「住民税非課税世帯になること」がありました。先日6月中旬に、住んでいる自治体から「国民健康保険料決定通知書」が送付され、その金額を確認したところ、2025年度(令和7年度)は無事に住民税非課税世帯として、国民健康保険料の「所得割額」がゼロになっていることに加え、「均等割額」について7割の軽減が受けられていることを確認できました。ちなみに、2025年度の国民健康保険料は年間で「約25,000円」です(正確な金額を書くと、私が住んでいる自治体がバレてしまうため、大よその金額を書いています)。
住民税非課税世帯には、通常6月中旬に自治体から郵送される「住民税決定通知書」が送付されません。私にも送付されていませんが、住民税がゼロであることを確認するため、マイナンバーカードを使ってコンビニで「課税(非課税)証明書」を発行してみたところ、「区民税」「都民税」「森林環境税」いずれも「0円」と記載されていました。
FIRE3年目、苦節2年で、念願の住民税非課税世帯となることができました。

私の住民税・健康保険料の推移
住民税非課税世帯になれたことで、私の住民税及び健康保険料は、以下の通り大幅に減額されることになります。

今後、住民税と健康保険料の合計額は、会社員時代の実に「40分の1以下」になります。
住民税非課税世帯のメリット
私が住民税非課税世帯になろうと考えた最も大きな理由は「国民健康保険料を削減するため」ですが、住民税非課税世帯となることで、他にも下記のようなメリットがあり、まさに「特権階級」といっても過言ではないと思います。
年度ごとの年金支給額アップによって、住民税非課税世帯の所得条件から外れてしまった高齢者の中には、年金受給を一時停止してまで、住民税非課税世帯を維持している人がいるとの話も納得できます(「老齢・障害・遺族給付支給停止申出書」を年金事務所に提出し、一時的に年金を停止して年金収入を減らすことで、住民税非課税世帯の要件を満たすことが可能)。
住民税非課税世帯のメリットを一言でいうと、「コスパが良い」ということになると思います。
【住民税非課税世帯の主なメリット】
・住民税が均等割額を含めて0円。
・国民健康保険料が減免される。
・高額療養費制度の自己負担が軽減される。
・国から給付金等が支給されることがある。
・自治体によって各種減免サービスが受けられることがある。
・その他(国民年金保険料の減免、介護保険料の減免、高額介護サービス費の自己負担軽減、後期高齢者医療費の自己負担軽減、東京都シルバーパスが1,000円で購入可能等)
国民健康保険料については、私の場合、所得割額0円、均等割額7割軽減です。
高額療養費については、70歳未満で住民税非課税世帯の場合、1か月の負担上限額は「35,400円」になります(70歳以上であればさらに負担が軽くなる)。
給付金については、例えば現在、自民党が夏の参院選の公約として、「国民1人あたり2万円給付」を盛り込んでいますが、「子供と住民税非課税世帯の大人」には「1人2万円を加算する」(この場合1人4万円給付となる)こととされています。仮に2万円加算されれば、私の場合、それだけで年間の国民健康保険料(約25,000円)の大半が賄え、国民健康保険料が実質無料のようなものです。

自治体の各種減免サービスの例としては、「インフルエンザ等予防接種費用の助成」「上下水道料金の基本料金割引」「公共施設の利用料割引」等があるようです。
私は国民年金については減免措置は受けず、付加保険料を含めて全額支払っていくことを考えています(2026年3月分まで前納済み)。
住民税非課税世帯のデメリット
一方で、住民税非課税世帯になることのデメリットがあるとすれば、病院でマイナンバーカードで受付する際に、受付のお姉さんに「このおっさん、住民税非課税じゃん」とバレてしまうことくらいです(高額療養費の適用区分が住民税非課税世帯を示す「オ」と表示される)。

働けば働くほど罰金が科される国、日本
住民税非課税世帯となって私が思うことは、日本はつくづく「働けば働くほど罰金が科される国」であるということです。
働けば働くほど、税金や社会保険料という名の罰金が科されますが、退職して無職となり、住民税非課税世帯になれば、税金や社会保険料が格安になり、各種給付金という「ご褒美」までもらえるのです。
昔、あるニートが「働いたら負けかなと思っている」と発言していましたが、まさにその通りなのではないでしょうか?(下の画像は文春オンラインより)

おわりに
私は会社員時代に、毎年多額の住民税・健康保険料を納付してきました。その一方で、会社員時代は仕事が忙しく、病院の通院もままならない状態であり、公共施設を利用する機会もありませんでした。
まさに「払い損」だったわけですが、今回住民税非課税世帯になったことで、ようやく「回収フェーズ」に移行することができそうです。
FIREした現在は、少しでも身体に不具合があれば、暇に任せて頻繁に通院して検査してもらっていますし、散歩で公園や公共施設を利用しており、住民税を全く支払うことなく、微々たる国民健康保険料(正確には給付金で実質負担ゼロ)だけで、各種サービスを最大限享受できています。

せっかく住民税非課税世帯になれましたので、そのメリットは十二分に享受したいと考えています。受けられるメリットの多くは、自分から申請する必要があるため、漏れのないようにしたいです。まずは各種給付金の申請から行いたいと考えています。しばらくは自治体のホームページをチェックする日々が続きそうです。
ただし、今後は所得だけでなく、保有資産や負担能力に応じた課税がなされていく方向にあるものと考えられますので、近い将来、FIRE民が住民税非課税世帯として恩恵を享受できなくなるかもしれません。例えば、「配当収入等を確定申告しなくとも、配当収入等に応じて、社会保険料を増やす」ことが既に検討されているのは、その証左だと思います。
みなさんも、FIREしたらぜひ住民税非課税世帯を目指してみてはいかがでしょうか?
【参考】住民税非課税世帯における世帯主の年齢(2022年)
・全世帯のうちの24%(推定1,300万世帯)が住民税非課税世帯。住民税非課税世帯における世帯主の年齢は、60歳以上が約8割を占めている。
39歳以下:6.8%
40代 :4.7%
50代 :7.3%
60代 :15.8%
70代 :36.6%
80歳以上:28.7%

出典:日本経済新聞ホームページ