はじめに
先日、ゴールデンウィークの休みを利用して、両親、私、兄一家(兄=会社員・義姉=保育士・甥=大学生)の6人で会う機会がありました。
年に何回かこのような機会があるのですが、兄一家は私がFIREしたことを知りませんので、毎回会う際には、「会うことで、私がFIREしていることがばれてしまうのではないか」とちょっと緊張します。
甥は現在、大学3年生です。甥は新NISA口座を開設できる年齢ですが、現状では投資に全く関心がないようであり、そもそも「FIRE」という生き方があること自体も知らない可能性があります。これまで甥との会話で、FIREや投資を話題にしたことは一度もありません。
私はFIREして約2年が経過しました。私自身はFIREして大正解だったと思っています。しかし、だからといって現時点で、私が甥に対して「将来的にFIREを目指してみたら?」などというつもりはありません。
今回はなぜ私が甥にFIREを勧めないのかについて、その理由を書いてみたいと思います。
大学生の甥にFIREを勧めない理由
私が甥にFIREを勧めない理由は、以下の通りです。
【私が甥にFIREを勧めない理由】
FIREは「はじめから目指すもの」ではなく、「結果的に目指すもの」だから。
私は、「FIREしたい」という感情は、人が社会人生活を送る中で、自然と湧き上がってくるものであり、そもそも社会人経験のない大学生が、FIREという概念だけを理解して、働いた経験のないまま目指すのは、本末転倒であると考えています。
私自身はFIREして本当に良かったと思っていますが、FIREは必ずしも万人にとってベストな選択であるとは限らないと思います。大学を卒業し、職に就いてみたら、とても仕事にやりがいを感じ、働くことに心底喜びを感じる人もいると思いますし、それはとても素晴らしいことだと思います。
そんな人にはそもそも、「あなたはFIREしますか?YES or NO」という選択肢が頭に浮かんでくることはないはずです。できるだけ長期間働くことがその人にとっての幸せであり、FIREなどというものを考慮する必要は全くないのです。

一方で、仕事にやりがいは感じつつも、一定の年齢に達して、今後は家族との時間を増やしたい人とか、仕事のストレスや人間関係に疲れ、会社員生活をやめたいと考える人もいます。そういった人には、適切なタイミングで「あなたはFIREしますか?YES or NO」という選択肢が自然と湧き上がってくるはずです。そうなってはじめて、FIREを目指せばよいのではないでしょうか?
働くことには以下のような良い面、悪い面があります。
働くことの良い面:
やりがいが感じられる。達成感がある。他人から感謝される。会社に貢献することで昇進したり、給与が増える。困難を克服して目標を達成することで、人間として成長できる。
働くことの悪い面:
時間が拘束され、自由が制限される。社内や取引先との人間関係で苦労する。頑張ったが結果が伴わずに挫折感を感じる。不本意な人事評価を受け入れねばならない。
生きていくことは、「コマンド選択式のアドベンチャーゲームをやるようなもの」なのではないでしょうか?働くことの酸いも甘いも経験する中で、特定の条件を満たしたときにはじめて、「あなたはFIREしますか?YES or NO」という選択肢が出現するのです。

ゲームスタート時点で、特定の条件を満たしていないにも関わらず、「あなたはFIREしますか?YES or NO」という選択肢が出現してしまっていると、それはチートのようなものであり、そのプレーヤーの人生に時として悪影響を与えてしまいかねません。
甥はまだ大学生です。将来何らかの職に就くことになりますが、その職が甥にとって生き甲斐が感じられる素晴らしいものであるならば、FIREなどという概念は邪魔なものでしかありません。私がいくら甥に対して「FIREは素晴らしいから目指すべき」などといっても、それは甥にとって余計なお世話なのです。
おわりに
私が「大学生の甥」に対してFIREを勧めることはありませんが、将来的に「社会人の甥」に対してFIREを勧めることはあるかもしれません。ただ一ついえることは、私が甥にFIREを勧めることがあるとすれば、それは甥自身が「あなたはFIREしますか?YES or NO」という選択肢を出現させた後です。
私はこのブログを、既に「あなたはFIREしますか?YES or NO」という選択肢が出現している人に対して書いています。そのような方々にFIREの素晴らしさや問題点を伝えたり、時には背中を押すような内容にしたいと考えています。

社会人経験がない大学生が私のブログを読んでFIREを目指してほしいわけではありません。大学生にとって私のブログは有害だと思います。男性にはお馴染みだと思いますが、ある種のサイトに行くと「あなたは18歳以上ですか?YES or NO」という選択肢が表示され、「YES」をクリックしないとサイトに入れないことがありますが、本ブログも同様に、「あなたは社会人経験がありますか?YES or NO」という選択肢をトップページに表示させるべきかもしれません。まあ、本ブログに大学生の読者がいるとは思えませんが…。
ちなみに今回、両親、私、兄一家の6人で会いましたが、私がFIREしていることはばれませんでした。甥によれば、大学失業後は就職するのではなく、大学院に進学したいとのこと。私が甥にFIREの素晴らしさを話す機会は当面先になりそうです。
※FIREに関する以下の過去記事もぜひお読みいただけますと幸いです。
「FIREした人は負け組であるという残酷な現実」
「【FIRE2年目】後悔しています」
「「こんなに良い会社を辞めるなんてもったいない」という思い込み」
「若者の間で「静かな退職」が広がっている理由」
「新入社員の自分に伝えたかったこと ~より充実したFIRE生活のために~」
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