はじめに
最近の台風により、各地で被害が出ています。被害に遭われた方々には、心よりお見舞い申し上げます。
各地の被害に関するニュース映像を見ていて、会社員時代の台風の思い出がよみがえってきました。
私は昨年5月末に、25年間勤務した会社を退職しました。今回は、会社員生活25年間で印象に残っている台風の思い出を書いてみたいと思います。
山梨出張の際の台風の思い出
15年以上前の話です。私は当時、金融機関の社員として、山梨県の取引先を担当していました。山梨県には週に1回程度、東京から出張で訪問していました。
ちなみに、私の勤務先では、出張先でレンタカーを使用することは禁止されており、出張先での移動は電車等公共交通機関かタクシーに限られていました。
8月か9月のある日、私は日帰り出張での最後の訪問先として、JR小海線沿線の会社に訪問していました。JR小海線は、山梨県の小淵沢駅から、長野県の小諸駅までを結んでいる路線で、途中にはバブル期に観光地として栄えた清里駅があり、「清里駅-野辺山駅間」には、JR線で最も標高の高い地点(標高1,375メートル)があります。
出張当日は大型の台風が接近していました。小海線は結構山の中を走る路線なので、すぐに運休してしまうかとも思ったのですが、動いており、取引先に訪問することができました。
取引先は健康食品等のオーガニック製品を製造している会社で、「烏骨鶏」の飼育も行っていました。以前、「ある金融機関の社員が取引先からもらったもの」という記事を書きましたが、このときも取引先から「烏骨鶏の卵」をお土産としていただきました。
日帰りの予定でしたので、夕方に面談を終えて東京に戻ろうと、最寄りの小海線の駅までタクシーで戻りました。記憶が曖昧なのですが、確かこの時点では小海線は動いており、小淵沢駅を経由して甲府駅までは出られたものの、「甲府駅-新宿駅間」が運休になってしまい、東京に戻れない状況になってしまいました。
小海線で佐久平駅(長野県)に出て、そこから新幹線で帰ることも検討したのですが、新幹線も動いていませんでした。
とりあえず私は甲府駅まで行くことにしました。甲府駅では人がごった返していました。駅員に東京に戻る方法を聞いてみたのですが、残念ながらその手段はなく、駅前から出ている高速バスも運休とのことでした。
この時点で私は会社に電話して、上司に相談したところ、「どこかで宿泊して明日帰社するように」との指示がありました。当時はスマホのない時代ですので、宿を探すのも一苦労です。駅に観光案内所がありましたので、そこで宿を探してもらったのですが、既に甲府駅周辺のビジネスホテルはどこも満室とのことでした。
しばらく粘って探していただいたところ、甲府駅からタクシーで行ける範囲内で、民宿がみつかり、なんとか寝床を確保することができました。
その民宿は個人の方が経営している宿で、和室です。宿のおじさんが部屋に布団を敷きに来てくれたので、その際に「よろしかったらどうぞ」と言って、取引先からいただいた「烏骨鶏の卵」を受け取っていただきました。
今考えると、見知らぬ他人からもらった卵など食べられないと思いますので、旅館の方には迷惑だったかもしれません。おじさん、すみませんでした。
翌日も特急電車は運休していましたが、高速バスは動いていましたので、朝一のバスでそのまま会社に直行しました。
おわりに
もし当時スマホがあったら、もっとうまく立ち回れたような気がします。その意味では、スマホは災害時に役立つことを再認識しました。ただ、充電していなければ使えませんので、災害時の電源(モバイルバッテリー等)は確保しておく必要があります。
出張の多い会社員の方であれば分かると思うのですが、出張で大変なのは、出張の予定を組むことです。日帰りであろうが、宿泊を伴う出張であろうが、とにかくできるだけたくさんの訪問先を無駄なく詰め込む必要があります。
しかし、アポイントが自分の都合よく入ることは稀で、たいていは相当苦労して出張スケジュールを組むことになります。
そのように苦労して何とか作成した出張スケジュールが、台風等でキャンセルになってしまうのは、何としても避けたいとの気持ちから、多少無理をしてでも出張日程をこなそうとしてしまい、その結果、今回のケースのように、東京に戻れなくなってしまったりすると思いますので、台風等の際には余裕をもって出張をキャンセルするくらいがよいのかもしれません。