はじめに
先日、ネットを徘徊していた際、「静かな退職」についての動画を見ました。最近、日本の職場において、特に若者の間で「静かな退職」が広がっているのだそうです。
今回は、昨年5月末に25年間勤務した会社を退職した私が、「静かな退職」について書いてみたいと思います。
「静かな退職」とは
「静かな退職」は、もともとアメリカから来た概念で、「Quiet Quitting」の直訳になります。配置転換等、外部的な要因がきっかけでそのような働き方になったわけではなく、あくまでも「自らの意思」で選択した働き方です。
ネットをみていると、「静かな退職」とは、以下のような状態で働くことを意味しているものと考えられます(順不同)。
・やる気がなく、仕事への熱意もない
・最低限の与えられた仕事のみやる
・成長意欲や上昇志向がない
・出世欲がない
・ストレスなく仕事がしたい
・ほどほどでよい
・仕事だけに注力するのではなく、家族や友人との時間、趣味その他のバランスを重視したい
・仕事に時間を割きたくない
・残業をしたくない
・たくさん給料が欲しいわけではなく、生活費が稼げればよい
・会社のために頑張る考えはない
・職場への帰属意識がない
・今のままやっていければよい
・職場には、給料をもらえる以上のことは求めない
私の場合
私は退職する直前の頃は、まさに「静かな退職」の状態だったと思いますが、若い頃からそうだったわけではありません。私の場合は、新入社員時代には仕事へのやる気もありましたし、成長意欲や上昇志向もあったように思います。
やる気のある状態で15年くらい働くなかで、保有資産が増えるにつれ、会社への経済的な依存度が低下していきました。その結果、仕事へのモチベーションが下がっていき、「静かな退職」の状態へどんどんシフトしていった感じです。
おわりに ~なぜ若者の間で「静かな退職」が広がっているのか?~
「静かな退職」をしている若者は、必ずしも退職したいわけではないようです。収入を得る手段として仕事はせざるを得ないが、仕事中心の人生にはしたくなく、プライベートを重視したいということなのだと思います。
「自由」を望んでいるという点では「FIRE」と共通していますが、一方で「退職はしない」という点で異なります。
ただ、ここでいう「退職はしない」の意味は、正確には「退職できない」ということであり、もし経済的に不安がない状態であれば、「静かな退職」をしている若者は、すぐにでも「FIRE」するということなのではないでしょうか?
「静かな退職」は、「FIREしたい人が、すぐにはFIREできない状態のときに陥る働き方」ということも言えると思います。「FIREを目指すのには時間がかかるが、今すぐにストレスなく会社員生活を送りたい」という希望の中で生まれてきた働き方のように思います。
その意味では、「静かな退職」とは、「昨今のFIREブームの副産物として出てきた働き方」のように、私には思えます。