はじめに
以前に比べれば落ち着いてきていますが、ここ数年は「FIREブーム」といってもいいと思います。私自身は「FIREブーム」以前から早期退職を考えていましたが、5月末に退職した際には、ブームによって背中を押された面があることは否定できません。
私はこれまで、FIREの素晴らしさをブログ記事で書いてきましたが、本音を言うと、みなさんにFIREすることはお勧めしていません。
今回はこのことについて書いてみたいと思います。
FIREをお勧めしない理由
「なにこいつわけのわからないこと言ってるんだ?」と思われるかもしれません。
私がみなさんにFIREを勧めない理由、それはずばり、「みなさんがFIREしてしまうと、私のFIRE生活が脅かされるから」です。
FIREすることのメリット
FIREしてみて、改めてFIRE生活の素晴らしさを実感しました。毎日あくせく働くこともなく、だらだら過ごしているだけで、不労所得が入ってきますし、保有資産が増えます。
シーズンオフに旅行することで、とてもお得に旅行ができます。
時間が自由に使え、融通が利きますので、いつでも病院に行けますし、品切れとなっている人気商品も、すぐに手に入ります。
平日にディズニーランドに行ったり、人の少ない公園で、のんびり散歩したり、カヌーに乗ったりすることもできます。
FIREすることのデメリットは、ふるさと納税があまりできなくなること、クレジットカードの審査に落ちること、人に職業を聞かれたときに困ること、くらいしか、思いつきません。
私はまだ恩恵を受けていませんが、所得が大幅に減ることで、住民税や国民健康保険、国民年金等が安く済む可能性があります。
お金はたんまり持っているのに、所得が低いというだけで、税金が安くなるというのはどう考えてもおかしいですが、現実はそのようになっています。
FIREする人が増えるとどうなるか?
上述した「FIREすることのメリット」は、「FIREする人が少数派だからこそ成り立っていること」です。
FIREする人が多数派になってしまえば、旅行のシーズンオフはなくなります。店舗や病院、公園も、いつ行っても混んでいる状態になります。
政府としても、FIRE民だらけになってしまうと、税収が激減するため、税制を改正してFIRE民から税金を絞り取ろうとすると思います。
不労所得で生活している無職がいようものなら、「さっさと働け」と言わんばかりに、保有資産に対して課税するかもしれませんし、キャピタルゲインや配当に関する税金も増税されるかもしれません。
80歳くらいまで働く人にとっては税金が安くなるが、働かない人には容赦なく増税される未来が見えます。
要するに、みなさんがFIREしてしまうと、FIREのメリットがなくなってしまうのです。
おわりに
ごく少数の人だけがFIREすればよいのです。大半の人にはFIREの素晴らしさは内緒にして、80歳まで労働に励んでもらい、たっぷり税金を納めてもらって、年金制度を支えてもらうのがよいと思います。いつの時代も、「搾取する側」は「搾取される側」よりも少人数なのです。
2021年頃に「FIREブーム」になった際、私はこういった観点で、「あまりFIREの素晴らしさを宣伝すると、FIREする人が増えてしまうので、やめてほしい」と思っていました。
2022年に米国株等の株価が低迷したことで、それまで盛り上がっていた「FIREブーム」が、少し沈静化しました。
しかし、2023年に入ってからの株高で保有資産を爆増させている人が増え、「FIREブーム」が再燃するのではないかと懸念しています。
みなさまにおかれましては、くれぐれも、FIREの素晴らしさを口外しないようにお願いします。